I.O.R.Get Arrived School 受講記

第4期 Get Arrived School 受講記

五反田みとめ歯科 三留康司

2019年,2月,3月のGet Started Course 第28期を受講し,インプラントの治療を行うためのベーシックな知識を得ましたが,より安心,安全なインプラントの治療を行うためにGet Arrived Schoolも続けて受講させていただきました.
Get Started Courseは2日間でしたが,Get Arrived Schoolは8ヶ月の長きにわたって行われるため,内容は多岐に渡ります.基本的な切開,縫合,埋入の操作はもちろんのこと,骨採取,骨造成,シムプラントによる診断,アバットメントについての色々,サイナスリフト,ソケットリフト,IOSを用いた光学印象,単冠の補綴だけでなく,術者可撤式の大型の上部構造まで盛りだくさんでした.

毎回のテーマに沿った論文の抄読も課題として出され,当日までに読み込んでおく必要があり,英語が大の苦手な私には大変な負担でしたが,なんとかついていきました.恥ずかしながら,歯科医師になって19年近く,まともに論文を読む機会などありませんでしたので,正直なぜ論文を読まなければならないのか,とすら思っていました.しかし拙いながらも抄読を重ねるうちに,日常の臨床における意思決定をする際や,患者への説明をする時の裏付けとして役立つことが分かってきました.今後,コースの課題として出された論文以外にも興味を持った分野の論文を読んでいくことで,自分の臨床の厚みを増すことができるのでは,と期待しています.

講義と実習は毎回バランスよく組まれており,聞いた内容を即実践,の繰り返しで極めて充実していました.竹下先生をはじめ,講師の先生方の講義もとても分かりやすく,また成功した美しい症例だけではなく,むしろご自身たちのうまく行かなかった症例の,一体何が問題で,どのようにリカバリーされていったか,といったお話を毎回惜しげなく教えていただけて,自分がこれからインプラントの治療を行う,より具体的なイメージができました.

12月の最終日には受講生全員の口頭発表がありました.学会発表の形式に則った抄録とスライドの作成を行う必要があり,4月の1回目の講義から,その説明を受けていましたが,当初は何から手をつけて良いか全く分からず,途方に暮れていました.
しかし,このコースの特徴であるチューター制度に大いに助けていただきました.担当のチューターの先生の素晴らしい導きにより,慣れない抄録とスライドの作成も行うことができ,無事に口頭発表を終えることができました.人前で発表できるものを一から作り上げる,という行為は自分の中であやふやだった知識が整理され,また誤りがあれば指摘していただくことができ,準備はとても大変でしたが,ためになりました.

このコースの,というよりはI.O.R. の特徴だと思うのですが,講師や指導医の先生方が我々受講生と非常にフラット,というかオープンというか,質問や意見を述べやすい雰囲気を常に作ってくださっているので活発なディスカッションにつながり,その内容がフィードバックされ,さらなる知識の蓄積の助けになっていると思います.「俺たちはこんなに凄いんだ!」とふんぞり返ることなく,講師の先生方も今なお勉強されて,さらなる高みを目指されているその姿勢が素晴らしいと思いました.

同期の良き仲間にも恵まれ,毎月楽しく通うことができました.今後,安心,安全なインプラント治療を行なっていけるよう,さらなる研鑽を積んでいく所存です.講師や指導医の先生方,同期の先生方に,この場を借りてお礼を申し上げます.ありがとうございました.


Get Arrived School を受講して

みはし歯科クリニック 三橋 憲司

今回,GAS 3 期を受講させていただきました. 8 カ月間という長期にわたり受講した感想を書かせていただきます.
私はこれまでI.O.R.以外にも多くのコースを受講してきました.今まで受講したコースに共通するのは「こうすれば成功します」というやり方を懇切丁寧に指導され,すばらしい成功症例を供覧するというものでした.しかしそんなケースは現実にはほとんどなく,その通りにやってもうまくいかずに試行錯誤しているというのが現実ではないでしょうか.

GASは大きく違いました.まず,「考える」というところから始まります.自分が壁にぶつかったとき,どのように考え,どのように論文を検索して読み,どのように解決するのか.その思考過程を学びます.そして講師の先生方は自分の成功症例を延々とスライドに映すということが全くありません.むしろ,うまくいかなかった症例を供覧し,どのように考えて解決したのかということを何度も説明されていました.よく考えてみればわかることなのですが,人間は成功からはあまり学びません.しかし,失敗したとき,思うような結果が出なかったときにはじめて深く考察します.講師の先生は,多くの成功症例や商業誌に載るような症例をお持ちであるにもかかわらず,それを発表するのではなくあえて自分の上手くいかなかった症例の考察を通して,受講生にその過程を共有させてくれます.これは非常に勉強になると同時に,失敗したときのリカバリーこそが本当に知識と技術が必要であると痛感しました.

もう一つはアウトプットするということです.講習会は基本的にインプットで終了ですが,GASでは最後に自身のケースやリサーチを発表する機会があります.その過程はかなり大変ですが,かけがえのない経験になります.臨床ではエビデンスという言葉が使用され,「その治療にエビデンスはあるのか」ということを繰り返される方もいます.しかし,医療は試行錯誤の末にデータが集まりエビデンスが確立されます.エビデンス通りに行うことも大事ですが,GASの講師の先生から感じたことは「エビデンスがないのであれば自分が作ってやろう!」ということでした.究極のアウトプットだと思います.いつか自分もそのようになりたいと感じました.

これからGASを受講する先生は,ただ受け身の姿勢でインプットするだけではなく,自身の疑問や日々の診療での問題点を講師の先生にぶつけて,受講生全員で考察する機会にしていただければと思います.その過程を皆で共有できればGASはとても有意義な場となると思います.


I.O.R Get Arrived School 第2期を受講して

愛知県一宮市 あいグローデンタルクリニック 石黒 慎太郎

私は日々のインプラント治療において,様々なセミナーや講演を受講しながら手技を学び,見よう見まねで臨床を行ないながら,今までなんとなくやって来れたというのが実感にあります。しかしそのような姿勢で臨床 を行なっていると上手く行かない場面にぶつかり,患者に不幸な結果を与えてしまうことを経験しました。そこでこのままでは…と思いGet Arrived Schoolを受講しました。

8 ヶ月間(全7 回)のコースは,基礎となる座学を学び,実習を行うことはもちろんのこと,インプラント臨床には欠かせない骨造成,サイナスリフト,軟組織の扱い方,日々進化する補綴マテリアルや最新のEVシステム,ガイデッドサージェリー,デジタルソリューション等,実習を交えながら今現在インプラント臨床において考えられる全ての手技を経験豊富な講師の先生方にとてもわかりやすく丁寧に教えて頂きました。本当に盛り沢山の内容で正直,頭の中がパンクしそうでついていくのに必死でした。さらにGet Arrived Schoolのテーマとなる「臨床と検証の融合」という考えから,毎回論文抄読があり私にとっては初めての経験で苦労しました。

日本語論文も真面目に読んだ事がない私にとって英語論文ですからハードルが上がります。最初は翻訳するのに精一杯でしたが,回を重ねるごとに論文がどういったものなのかを知り検証する考え方を学び,日々の臨床においても考え方が少しずつ変わってきていたのを実感しました。最終日には,本コースの集大成として症例発表部門と研究発表部門に分かれて受講生の口頭発表があり,私は研究発表でした。 1 期生の小久保賀代先生がチューターとして,さらに講師の榊原亨先生に指導して頂き,研究テーマを決める所から始まり,研究方法,抄録作成,スライド作成,予演会と口頭発表の最後まで出来の悪い私をサポートしてくださり,お陰様で何とか無事に発表する事ができました。この経験はインプラントに限らず全ての臨床において考え方を見直す良い機会となりました。また修了式ではアワードという願ってもない御褒美を頂く事ができたことは,小久保先生,榊原先生のご指導のお陰だと思います。この場をお借りして感謝申上げます。ありがとうございました。

今回Get Arrived Schoolを受講して,今までの受け売りの臨床から自身で考え検証するきっかけとなり,I.O.R.の科学的な視点で検証する姿勢を学ぶ事ができました。今後この経験を無駄にせぬよう日々の臨床に精進したいと思います。また,同じ釜の飯を食うではないですが, 8 ヶ月間同じ苦しみ?を味わった2 期生の仲間ができた事を嬉しく思いますし,やっとI.O.R.の一員になれたかなと思っています。
最後に,いつも導きをくださる竹下先生,受講を勧めてくれた墨先生,I.O.R.講師陣の先生方,スタッフの皆様には大変感謝いたしております。ありがとうございました。また今後もご指導の程,宜しくお願い致します。


I.O.R Get Arrived School (第 1 期)を受講して“ 検証は必ず臨床につながる”を確信にした6ヵ月

熊本県 イッコウ歯科医院 三隅 一公

2016年6 月12日サクセスイン プラントセンター I.O.R.研修室にて, 6 ヵ月に渡るGet Arrived Schoolが開校された。スクール という響きに何か学生時代を思い出し, 1 期生であることに何だか誇らしい気持ちを胸に研修室に入ったが、開校式を終え論文検索、論文抄読と進んだ頃の私にはすがすがしかった気持ちは無くなっていた。「コレは本気のヤツや」という思いが沸き上がったと同時に周りにいる受講生が真剣な顔つきに変わったのに気づいた時,これから始まる甘くない6 ヵ月を予感した。
そして,その予感は的中するのである。

このスクール のプログラムのコンセ プトは「科学的な視野を養い,自らが考え,それを検証する姿勢の第一歩を踏み出す」というものである。スクール では毎回論文抄読からスタート する。
これはもちろん儀式的なものではない。船木先生はまず,論文を読むことで「科学論理的思考」が身につくこと,教科書や成書の情報は最先端の情報ではなく,新しい情報は論文を読まないと入手できないことを述べられた。そして論文を読むときはcritical(批判的)に読むことを示され,本スクールではこれを徹底される。
恥ずかしながら私は,まともに論文を読んだことさえ無く,いわゆる論文アレル ギーというか,論文から距離を置いてい た。しかし,スクール ではこれは許されない。なぜなら,スクール を通して英語論文を1 度は翻訳し発表しなくてはならず,発表会でなくとも毎回行われる抄読会では必ず質問を求められるからである。私は運よく(?) 2 回発表となったが,慣れない論文の翻訳に約1 週間,休診日と診療後の時間のほとんどを論文に費やした。

私が発表を担当した論文は「技工過程で引き起こされるインプラント 垂直破折」と「患者固有の粘膜色に着色したアバットメント 」であった。まさに講師である竹下先生と墨先生の「何故?」から始まった検証であり,挑戦であり「日本人からエビエンスを」を掲げた両先生の科学者としての姿に改めて触れた瞬間であった。
しかし,考えてみると,この機会が無かったら,私は英語論文を手に取り,要約し,論文の意図や研究方法について自ら考えることをしただろうか,きつかった中でその一歩を踏み出せたことに,スクール の意義があり,講師の先生方の厳 しさの裏にある優しさを感じさせられた。

スクール ではインプランント外科の基本中の基本である切開,縫合からアドバンスといえる骨造成,サイナスリフト ,採血(CGF・PRF)そしてイン プラント 補綴デジタルソリューション からメンテナンス まで現在のイン プラント のほとんどを網羅しているといってもよい内容の講義実習も行われる。多くのレギュラーコース を持つI.O.R.ならではの非常に専門性の高い講義であった。
そして,最終回は2016年11月20日,スクール の最後を締めくくる受講生口頭発表が六本木ヒルズ森タワー 51階「theclub roomⅡ」にて行われた。

「ケース プレデンテーション 」部門と「クリニカルリサー チ」部門に受講生は分けられ,数か月前から準備し,学会形式で発表を行うものである。
私は竹下先生に指導を受けるグループであったが,前日の深夜までパソコン を持ち帰り,先生方とスライ ドの最終確認や訂正を行った。リサー チなど初めての経験であったが,準備をしていく中で自身の臨床を見つめ直すいい機会となり,自分で考えるということを始め,自身の臨床を系統立てて他人に示す難しさと大切さを痛感した。
全員の発表が終わり,受講生と味わったあの充実感は忘れられないものとなった。緊張で目に入らなかった森タワー 51階からの景色は夜景へと変わっており, 6 ヵ月を振り返りながら見たあの夜景は今も鮮明に焼き付いている。

懇親会を兼ねた終校式で,竹下先生がおっしゃった「私は検証は必ず臨床につながるという思いで10年間I.O.R.を続けてきた」という言葉に目頭が熱くなったことを思い出す。なぜなら,このスクール にてその言葉の意味の片鱗かも知れないが私も感じとることが出来たからである。
最後に,今回のスクール にて一緒に受講した先生方と,これからも臨床を語り合える仲間として,時にはプライベートや医院経営などについても腹を割って話せる仲間として,そして同じスクール を乗り越え,同じ釜の飯を食った戦友としてもお付き合いしていけたらと感じている。
末筆ながら今回のGet Arrived School受講にあたり,ご尽力をいただいた関係者各位,ご指導いただいた講師の先生方,サポート していただいたI.O.R.メンバーの先生方に心より深謝いたします。本当にありがとうございました。